Sony AI、卓球ロボットAceの開発を解説、公式ルールでエリート選手と対戦しNatureに掲載
Inside Project Ace: Discover the Robot Athlete That Competes With Professional Table Tennis Players
Sony AIは卓球ロボットAce(Project Ace)の開発経緯を公開した。イベントベース視覚、低遅延制御、強化学習を組み合わせ、公式ルール下でエリート大学生やプロ選手と対戦し、研究はNatureの表紙を飾った。エンドツーエンドの遅延は20.2ミリ秒で、エリート選手の約230ミリ秒と対比されている。
Aceは9台のフレームベースカメラと、Sony Semiconductor Solutions製の3台のイベントベース視覚システムを使い、ボールを200Hzでミリ単位の精度で追跡する。遅延は約10msで、回転は最大700Hzで計測する。制御はシミュレーションのみで学習した深層強化学習で、実機にはファインチューニングなしで転移したとされる。アームは自由度8のカスタム設計で、軽量合金を使っている。
学習はスキル、戦術、戦略の3層で構成される。Nature論文が主に扱うのはスキル層で、強化学習の大半もここにある。戦術と戦略には改善の余地が残るとChief ScientistのPeter Stoneは述べている。学習時にはprivileged criticという手法を使い、シミュレーション中のcriticだけが完全な情報を持つ。方策は現実的なセンサー入力のみから学び、センサーフュージョンやボール軌道の予測を自ら獲得した。Peter Dürrは、GT Sophyで見た手法が物理システムで機能したことに驚いたと語る。
評価は2025年4月に、エリート選手5人とプロ選手2人を相手に行われた。試合はITTFルールに従い、日本卓球協会の公認審判が裁定した。一方で、Aceは世界王者の水準には達しておらず、論文時点のバージョンは人間ほど強く、回転をかけて打てなかったという。2025年4月から12月の間に改善されたと説明されている。バウンド後に早く打ちすぎる傾向や、極端なスマッシュでシミュレーションと実機がずれる点も課題として挙げられた。
チームは、この成果がフィジカルAIの基盤技術になりうるとみている。高速な知覚、低遅延の制御ループ、シミュレーションから現実への転移手法が応用先として挙げられ、支援ロボットやリハビリなども可能性として言及されている。コードの擬似コードはhttps://github.com/SonyResearch/ace publicで、試合動画はhttps://sonyresearch.github.io/ace publicで公開されている。
視覚、制御、ハードウェア、シミュレーションからの転移を一つのシステムとして統合した過程と、現時点の限界が開発側の言葉で整理されている。
出典: Sony AI ブログ · ai.sony