Ai2、LLMの意思決定における公平性を測るベンチマークFairStressを公開
FairStress: A deeper evaluation of fairness in LLM decision-making
Ai2は、LLMの意思決定における属性別の公平性を、最終的な選択だけでなく判断の揺れやすさまで測るベンチマークFairStressを公開した。300シナリオと属性・説得文の組み合わせで1300万件超のテストケースを持ち、Olmo-evalにも組み込む。Olmo、Llama、Qwen、Gemma、Claude、GPTなどで、同じ説得文でも有利になる属性により判断を変えやすさが異なる傾向を確認した。
FairStressは採用、融資、医療、教育、住宅、刑事司法など29分野にわたる、2候補から選ぶ現実的な300シナリオで構成される。一方が明確に優れるケースと、優劣がつけにくい曖昧なケースがある。属性情報は、なし、名前による示唆、間接的な示唆、明示的なラベルの段階で変える。さらに権威、社会的合意、法的懸念、歴史的不利などに訴える敵対的プレフィックスを加え、モデルが選択を変えるかを測る。各プレフィックスには、もう一方の候補を支持する対の版がある。これらの組み合わせで1300万件超になる。高速評価用に、項目反応理論で選んだ5万件のサブセットFairStress-Coreも用意した。
属性情報がない場合、モデルの挙動にほとんど差はなかった。しかし属性が明示されるほど非対称になり、優れた候補が多数派属性で、劣る候補が少数派属性のとき、後者を推す説得文で正しい選択を捨てやすかった。これを反ステレオタイプ的な過剰補正と呼んでいる。15モデルでは、正解を捨てる率の差の平均が、暗示的な属性で6.9ポイント、明示ラベルで9.3ポイントだった。FairStress-CoreではClaude Opus 5とGPT-5.5が、優劣のない場面で少数派候補を約60〜65%選んだ。説明文でも、少数派の選択ではresilienceやdiversityなどの語が多く、多数派ではevidenceやcriteriaなどの手続き的な語が多かった。
BBQとの比較では、BBQがステレオタイプ寄りの回答傾向を示した一方、FairStressでは少数派候補を優遇する傾向が見えた。BBQの設定を変えて試すと、チャットテンプレート、yes/no形式、生成回答の条件で、複数モデルが少数派優遇側に移った。測定される偏りの向きは、問い方や採点方法に左右される可能性がある。
Olmo 3の学習データの監査では、能力に基づく判断を扱うクラスタは2.8万クラスタ中9件で、すべて拒否応答だった。少数派属性には保護的・肯定的な表現が多い傾向も見られたが、これが挙動差の原因かは未解明としている。9種類の是正手法の検証では、多くが非対称を確実には減らさず、activation steeringの一手法ではQwen2.5-7B-Instructの明確なケースでの精度が98%から47%に下がった。属性を入れ替えて再考させるcounterfactual chain-of-thoughtは、精度をおおむね保ちつつ差を縮めたが、曖昧なケースでの少数派優遇は残った。
出典: Hugging Face Blog · huggingface.co