Google DeepMind、サイクロン予測のWeatherNextをNature論文とともにオープンソース化
WeatherNext: AI model achieves breakthrough in forecasting cyclones
Google DeepMindは、サイクロンの進路、強度、風の構造を単一モデルで予測するWeatherNextをNature論文で発表し、WeatherNext 2とWeatherNext Cyclonesのコードとモデルウェイトを公開した。3日先の予測が従来モデルの2日先の精度に相当し、平均で1日分の予測精度が上乗せされるとしている。コンパクト版のWeatherNext 2-miniも公開され、無料のColabノートブックで単一のTPU上で動作する。
WeatherNext Cyclonesは、2023年から2024年の過去のサイクロンで他の主要な気象モデルと比較評価された。進路、強度、風の構造の予測で、平均して24時間を超えるリードタイムの優位性が得られたという。学習には約20テラバイトの全球大気データと、約5,000の過去の嵐を含むIBTrACSデータベースを用い、全球の気象力学と専門家が整備した観測データの両方で共同学習している。
従来は、進路を粗い全球モデルで、強度を高解像度の局所モデルで扱うという二つの手法の使い分けが必要だった。WeatherNextはこの差を埋める単一モデルで、Functional Generative Networks(FGN)によって予測のアンサンブルを効率よく生成し、気象の不確実性を捉える。15日先の予測を1台のTPUで1分未満で生成できる。昨年は50個の予測を同時に出していたが、今年はアンサンブルを1,000メンバーに拡大し、急速な強度増大のような稀だが影響の大きいシナリオも捉える。
入力は28x28kmの解像度で足り、従来モデルより100倍粗い。111x111kmで動作するWeatherNext 2-miniも高い性能を示した。これは研究者にとって意外な結果で、なぜこの解像度で高精度な予測ができるのかは未解明の研究課題として残されている。
実運用では、2025年のハリケーンシーズンに米国立ハリケーンセンター(NHC)がHurricane Melissaの急速な強化とジャマイカへの上陸を予測する際に、このモデルが役立ったとされる。開発はGoogle DeepMindとGoogle Research、NHC、CIRA、UK Met Officeなどの協力による。公開されるのはシーズン中に稼働したWeatherNext Cyclonesと、10月に運用化したWeatherNext 2で、学術研究や業務予報、より局所的なモデル開発に使える。最新の予測は、気温や降水、風速などを一画面で見られるよう刷新されたWeather Labで確認できる。
単一モデルで進路、強度、風の構造を予測する手法と、重みとコードの公開範囲が具体的に示されており、気象分野での再利用を考える材料になる。
出典: Google DeepMind Blog · deepmind.google