AI研究所、廃業したスタートアップのデータを購入しモデル学習に活用
AI labs are buying data from dead startups to train their models
AI研究所などが、廃業するスタートアップのコードやSlack、メールなどの業務データを買い取り、学習に使う動きが広がっている。SimpleClosureのAsset Hubは150件超の取引を扱い、2026年末までに1000万ドル超をスタートアップに還元する見込みである。一方、プライバシーや従業員への還元をめぐる懸念も指摘されている。
暗号資産スタートアップを今年畳んだKeelan Miskell氏は、コードベースを約2万5000ドルで売却し、Google、Notion、Figma、Slackのワークスペースデータの売却額も約1万5000ドルとなる見通しだという。仲介したのはSimpleClosureで、同社は4月にデータ販売を事業に加えた。買い手には基盤モデルを手がけるAI研究所、AI学習用の模擬ワークスペースを作る事業者、自社モデルを開発する成熟したテック企業が含まれる。SimpleClosureのCEOによれば、取引の47%がコードまたはデータの売却を含む。競合のSunsetも、人員数、事業年数、データ量、ツールの使われ方で資産を評価し、事業を伸ばしている。
需要の背景には、公開データや合成データの限界がある。Surge AIは強化学習用の環境を作るためにデータを購入しており、意見の対立や難しい判断を含む多様なやり取りを求めている。実データは存在しない日付への言及といった合成環境の誤りを避けられるが、性能向上の度合いを比べた試験は公表されていない。評価額も買い手ごとに大きく異なる。大型案件としては、Spirit Airlinesの破産手続きでGoogleがMercorを上回る額を提示し、1億通のメールなどを1000万ドルで購入した。SpaceXのAI部門も購入を検討していると報じられている。
法的な課題も残る。Spirit Airlinesの客室乗務員組合はプライバシーを理由に売却へ異議を唱え、弁護士のGreg Ewing氏はこうしたデータを法的に危ういと述べている。供給側は個人情報の除去や人事記録の除外を行うが、診察予定などの私的情報が残りうる。収益は主に上位債権者や投資家に渡り、従業員には渡らない。Emory大学のIfeoma Ajunwa教授は従業員データの売却に明示的な同意が必要だと主張するが、連邦レベルでこれを禁じる法律はない。創業者は買い手や用途を把握しにくく、提示額が適正かも判断しづらい。
出典: MIT Technology Review AI · technologyreview.com