LINEヤフー、Tech-Verse 2026のKeynoteでAIエージェント「Agent i」とAI基盤、全社AXの取り組みを紹介
「Tech-Verse 2026」Keynote
LINEヤフーは2026年6月29日開催の技術カンファレンス「Tech-Verse 2026」のKeynoteで、一般向け「Agent i」と企業向け「Agent i for Business」の構想、基盤の「AI Agent Platform」、社内AX化の進捗を示した。MCP Hubには現在150を超えるMCPサーバーが接続され、Agent Builderのリリースから2カ月で100を超えるワークフローが作られている。
Keynoteのテーマは「Agent i」「AI Platform」「AX」の3つである。「Agent i」は、LINEやYahoo!検索、コマース、決済などの既存サービスをエージェント化し、複数のエージェントを連携させて、ユーザーの意図を読み取り先回りして必要なことを提示する構想だ。企業向けには、公式アカウントAIモードと運営・分析機能を高度化する「Agent i Biz」を提供する予定としている。例として、LINEのグループトークで観戦の予定を調整し、リマインドや共有カレンダー登録まで代行する流れが挙げられた。
AI Agent Platformは「Build & Manage」「Run & Orchestrate」「Governance & Observability」の層で構成される。UIでエージェントを作れるAgent Builderと実行基盤のAgent Runtimeにより、AI専門でない担当者でも1日でエージェントを立ち上げられるという。MCP HubはModel Context Protocolを全面採用し、Runtime、Gateway、Catalogの3機能を持つ。ツール呼び出しの認可やログなどを制御するControl Planeとして位置づけられている。Agent Routerは、メタデータや埋め込みベースの検索で候補を絞り、LLMで再ランキングする多段パイプラインとして設計されている。
パーソナライズでは、対話履歴をMemory Summarizerで要約してMemory Bankに蓄積するLong-Term Memoryがあり、現在はユーザーあたり平均7エントリが蓄積されている。プロフィールデータとエージェントごとの記憶をリアルタイムで集約するMemory Aggregatorは構想段階で、関連度、鮮度、機微度、ユーザー同意などを見てプロンプトに入れる文脈を決める考えだ。ガバナンスでは、タスクに応じてモデルを選ぶModel Routing、ポリシーでエージェントを統制するAgent Catalog、Prompt Injectionや個人情報マスキングなど5つを内製したGuardrailsが挙げられた。Guardrailsは入力、Tool Calling前後、最終応答など各ステップに組み込む。
AXについては、30年以上のレガシーと100個以上のサービスを持つ大企業ならではの難しさがあるとし、5段階の計画のうち今年からExecutionフェーズに入るという。CS領域では80%以上の生産性向上が出ている。既存レガシーサービスでは、この1年でAI向けに構造化した設計書が約46倍、AI向けに整ったリポジトリのカバレッジが約15%、AI生成コードが全体の約20%に達した。セカンドラインの全プロセス可視化プロジェクトは7月に一次オープンを予定し、約13%のリードタイム短縮を確認している。インフラではプライベートクラウドFlavaをAIエージェントが安全に使える形へ進め、セキュリティではGuardrailsやAgent permissionを含む信頼設計を基盤にしている。
出典: LINEヤフー Tech Blog · techblog.lycorp.co.jp