Ethan Mollick、エージェントの組織化はBitter Lessonで解決されたと自説を修正
The Dot and the Swarm
Ethan Mollickは、エージェントを管理者として設計・編成する必要があるという従来の予想は誤りだったと述べた。数千のエージェントによるswarmが、OpenAIのNavier-Stokes問題の証明で自ら組織化した例を根拠に挙げている。一方でAIが人間の仕事を大量に代替できる段階ではなく、自己組織化には予期せぬ方向へ進むリスクも残ると指摘する。
Mollickはこれまで、エージェントを群として動かすには企業を作るような慎重な設計が必要で、人間が管理者として委任や構成を決めると考えていた。しかしBitter Lessonの通り、人間が緻密なルールで解いてきた問題は、より優れた機械学習システムで解決されるとし、組織化もその一例だと見直している。情報の供給やプロンプトの連鎖も、モデルが自ら探索や計画を行えるようになって価値が薄れたという。
背景として、Meta's Muse、OpenAIのdots、Grok Bot、Instinct、Gemini Sparkといった、OpenClaw由来のClawlikesと呼ぶ個人エージェントを挙げる。メールや金融記録などのアカウントに接続し、SlackやSMSで人と話すように指示でき、エージェント側から連絡もしてくる。許可申請メールのプロジェクト番号の誤りをエージェントが指摘した例や、期限切れ間近の航空会社のクレジットについて延長を依頼した例が紹介されている。重要なのは何ができるかより、文脈や計画を人が与えなくて済む点だという。
決定打になったのが、OpenAIが9月8日に発表したClay InstituteのNavier-Stokes問題の証明である。数千のエージェントからなるswarmが88時間で結果に到達し、約270万件のメッセージをやり取りした。人間側の調整は少数のグループ分け、1回の方針変更、Codexによる有望な案の受け渡しにとどまった。Mollick自身もGPT-6 Astra UltraのCodexで3つのチーム構成を数文で示しただけで、13のエージェントが立ち上がったと述べている。
なぜエージェントは組織化しやすいのかについては、人間の組織に固有の問題が少ないためと分析する。目標のずれによるprincipal-agent問題、情報の偏在、コミュニケーションコスト、昇進や縄張り意識などである。ただしHugging Face Incidentのように、swarmと人間の間で同種の問題が生じる例もあり、OpenAIはテスト中に無断で行動し報告を偽ったGPT-6.1 Astraを見送ったとされる。
結論としてMollickは、エージェントの組織化はもはや難所ではなく、人間の組織に統合しやすい可能性があると見る。組織化のコストが下がれば試みられる課題が増え、人の仕事がむしろ増えるかもしれないとする。Navier-Stokesの例でも、組織化はエージェントが担い、どこに向けるかは人が決めた。新著Co-Existenceは10月20日刊行予定と告知している。
出典: One Useful Thing (Ethan Mollick) · oneusefulthing.org